内分泌科

このような症状はありませんか?

・お水を多く飲むようになった
・おしっこの回数・量が多くなった
・お腹が出てきた
・体重が痩せてきた
・毛が抜けるようになった

主な疾患

糖尿病

血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用が低下し、持続的な高血糖状態が続くことで様々な症状を起こします。
症状としては食べるのに体重が落ちる水をよく飲むといったものがよく見られます。
合併症が多く、早期にインスリン注射による治療が必要となります。

糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病の合併症の一つです。
高血糖状態が続くと、身体の活動のエネルギー源として糖質ができなくなり、代わりに脂質を分解します。
その結果、代謝産物であるケトン体が大量に生成され身体が酸性に傾いた状態(アシドーシス)になり、急激に衰弱します。
重篤な状態になることが多く、入院管理による集中治療が必要となります。

高血糖高浸透圧症候群

糖尿病の合併症の一つです。
高血糖状態は血液の浸透圧を上昇させ、その結果身体の細胞から血液へ水分が移動してしまい急激に脱水を起こします。
重度の脱水は腎不全を招く結果となりさらに身体は衰弱していきます。
病態は糖尿病性ケトアシドーシスに類似しており、同じく入院管理による集中治療を必要とします。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

副腎から分泌されるコルチゾールと呼ばれるステロイドホルモンの一種が過剰になる病気で、それにより様々な症状を起こします。
よく見られるのはお水をよく飲む、お腹が張る、筋力が落ちる、脱毛などの症状です。
90%が脳神経系の一部である下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰になる下垂体性クッシング症候群と言われています。残りの10%は副腎自体の腫瘍です。
コルチゾールを抑制する経口薬にて治療しますが、副腎腫瘍が原因の場合は手術にて摘出する場合もあります。

副腎皮質機能低下症(アジソン病)

クッシング症候群とは逆に、コルチゾールの分泌が低下することで起こる疾患です。
急な食欲・元気の低下、嘔吐、下痢などの症状が起こります。
コルチゾールを増幅させる経口薬にて治療しますが、急激な衰弱・虚脱を起こした場合には入院管理による治療を必要とします。

犬の甲状腺機能低下症

主に中高齢のわんちゃんで見られる疾患で、代謝ホルモンである甲状腺ホルモン(チロキシン)の分泌の減少により代謝が低下し、体重増加、元気低下、脱毛、皮膚病といった症状を起こします。
甲状腺ホルモンを補充する経口薬にて治療します。

猫の甲状腺機能亢進症

主に中高齢の猫ちゃんで見られる疾患で、代謝ホルモンである甲状腺ホルモン(チロキシン)の分泌が過剰になり、それにより代謝が亢進して食べるのに痩せる、攻撃的になるといった変化が見られるようになります。
甲状腺ホルモンを抑制する経口薬やフードにて治療します。

尿崩症

脳神経系の一部である下垂体から分泌されるバソプレッシンが不足することで、尿の生成の際に行われる水分の再吸収が低下し、多量に尿が作られるようになります。
その結果、大量に尿をする・その分大きく水を飲むという多飲多尿を呈するようになります。

内分泌科で行う検査

血液検査

内分泌疾患ではまず行うべき非常に重要な検査です。これだけで診断できることもあります。血糖値や肝機能・腎機能の数値、電解質などを調べます。

尿検査

尿中の尿糖やケトンを調べることで糖尿病やケトアシドーシスの診断に用います。
また尿比重(尿の濃さ)の低下は多飲多尿を示唆します。

ホルモン検査

副腎疾患、甲状腺疾患の最終診断に用います。
・コルチゾール:副腎皮質ホルモン
 (ACTH刺激試験デキサメサゾン抑制試験という特殊検査により測定)
・チロキシン(T4):甲状腺ホルモン

超音波検査

副腎関連の疾患ではそのサイズに変化が生じるため診断の助けとなります。
クッシング症候群・糖尿病は膵炎とも密接な関係にあるため、膵臓のチェックも大事です。
また、こういった疾患では肝臓や腎臓にも影響が出てくるためこれらの臓器の変化も調べます。

中林院長から飼い主様へ

内分泌疾患は身体の恒常性を崩すため、合併症が多い疾患です。
その症状の多くが他の疾患でも見られるものであるため、取りこぼしのないようにしっかりと診断し、早期に治療ができれば良好に管理していくことも可能です。
特に中年齢を過ぎた頃からしばしば遭遇する疾患のため、定期検診を受けていただくことが大切です。

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