・食欲・元気がない
・口の中が白っぽい
・呼吸が荒い
・ぐったりしている
自身の赤血球に対して免疫系が攻撃をしてしまい、その結果赤血球が破壊され溶血が起こることで生じる貧血です。注射・ワクチン・腫瘍・感染症など様々な要因を引き金に発症すると言われており、急速に貧血が進行する場合は免疫抑制治療以外に輸血も必要となってきます。
赤血球の変形によりハインツ小体と呼ばれる構造物が出現し、脆弱になった赤血球がやがて壊れて溶血を起こします。タマネギやニンニクによる中毒が原因として代表的です。
臓器などからの持続的な出血が原因で起こる貧血です。交通事故などの外傷や腫瘍の破裂などで腹腔内に出血を起こすと急激に貧血が進行し、場合によっては命に関わります。
血液中のヘモグロビンと呼ばれる色素の材料となる鉄分の不足により起こる貧血です。ノミによる吸血や消化管からの慢性的な出血などが原因として多く、原因を取り除いて鉄材を補給することで改善します。
腎臓から赤血球を産生するホルモンであるエリスロポエチンが不足することにより貧血を起こします。慢性腎臓病などが進行することで見られます。治療のためにこの不足しているホルモン製剤を注射することがあります。
骨髄の異常(腫瘍、感染症、中毒など)により、血球の元となる細胞が骨髄で産生されなくなり貧血となります。
何らかの原因により止血に関わる血小板数が減少し、体表や粘膜における点状出血や紫斑といった症状が見られるようになります。免疫介在性の原因が多いとされていますが、薬剤・ワクチン・接種・腫瘍・骨髄疾患など様々な要因で発症することもあります。
止血に関わる因子であるビタミンKが不足し、出血傾向となる病態で、主に殺鼠剤の誤食による中毒として認められます。
急速に血管内に血栓が形成され、その影響で血小板が枯渇し止血異常を起こします。
重度の感染症や腫瘍、炎症性疾患などから合併することが多く、形成された血栓により多臓器不全を起こすこともある危険な病態です。
赤血球内にバベシア属の原虫が感染することで赤血球が壊れ溶血性貧血を起こします。
主にマダニを媒介して感染し、日本でも感染例が報告されています。
細菌の一種であるマイコプラズマが赤血球内に感染し、溶血を起こす疾患です。
主に猫ちゃんにおいて見られます。感染経路はマダニ媒介や母子感染などです。
リケッチアと呼ばれる種類の病原体の一種であり、白血球や血小板に寄生して血球減少症を起こし様々な症状を起こします。主にマダニを介して感染します。
リンパ節や臓器中のリンパ球が腫瘍化して病変を形成します。
わんちゃんでは全身のリンパ節が腫れる多中心型リンパ腫、猫ちゃんでは消化器型リンパ腫が多いとされていますが、身体のあらゆる部位に発生する可能性があります。
骨髄中の造血幹細胞が腫瘍化することで白血球が異常増殖し、食欲不振や発熱など様々な症状を起こします。
骨髄中の形質細胞(リンパ球の一種が分化したもの)が腫瘍化し、全身の骨に病変を形成します。骨髄における増殖巣がレントゲン写真にて虫食い状の「パンチアウト像」として認められます。
各血球(白血球、赤血球、血小板)の数や貧血の有無を調べます。
止血機能異常の検査として凝固系検査を行うこともあります。
免疫介在性の疾患の場合は特殊な検査にて陽性反応が出ることがあります。
感染症を疑う場合はその病原体に対するPCR検査を行います。
輸血を行う際に必要な検査です。血液を提供する側(ドナー)と受け取る患者側(レシピエント)が適合しないと輸血による凝血反応を起こし非常に危険です。
そのため輸血の際には必ず実施します。
リンパ腫のような特定の臓器に病変を形成する疾患の場合、その部位に対して針などを用いて組織を採取し、診断の材料とします。
また、その標本に対して腫瘍性の増殖があるかどうかの検査(クローナリティー)を実施することもあります。
骨髄穿刺により骨髄液を採取し、その構成細胞の種類や割合により骨髄疾患の診断をします。通常は全身麻酔が必要となります。
臓器に病変を起こす疾患の場合はその部位や範囲の特定のためにレントゲンや超音波検査、CT検査などを行うことがあります。
貧血やリンパ腫は小動物領域における血液疾患の中では特にしばしば遭遇し、その治療法も多様です。急速に進行して命を脅かすケースもあり、早めの発見と治療が望ましいです。
検査を行うことで発見されることが多く、一見外観に異常がない場合でも検査をすると実は疾患がすでにあったりもします。中には進行性で改善が難しい場合もありますが、その子の現状に対して最適な治療がしてあげられるよう、一緒に問題に立ち向かっていきましょう。