皮膚科

このような症状はありませんか?

・身体を掻いたり舐めたりして赤くなっている
・ふけが多い、カサカサしている
・ベタベタして臭いが出ている
・毛が抜けている
・皮膚にできものがある

当院は皮膚科診療を得意しています

院長の中林は日本動物病院協会(JAHA)の総合臨床医資格を取得しており、エビデンスに基づいた診療を行います。診療科を限定せずに診療を行っていますが、特に皮膚科には深い知識があります。獣医皮膚科学会にも所属しており、かかりつけ病院から紹介されてきた症例を扱う二次診療施設にて皮膚科研修医を2年間務めた経験もあり、今でも研鑽を重ねています。

主な疾患

よく見られるもの

膿皮症

皮膚の細菌感染により起こる皮膚炎のことで、主に皮膚に常在するブドウ球菌が原因とされています。ふけやかさぶたを伴う皮膚の赤みが見られ、痒みをともなうこともあります。特にわんちゃんで見られるポピュラーな皮膚疾患です。 抗菌薬や薬用シャンプーで治療します。

マラセチア皮膚炎

マラセチアと呼ばれる酵母様真菌(カビの一種)の感染により起こる皮膚炎のことで、ふけやベタつきを伴う皮膚の赤みを特徴とし、痒みを伴います。この菌も皮膚に常在すると言われており、皮脂を栄養源として増殖するため脂症の子はマラセチア皮膚炎を起こしやすいと言われています。
抗真菌薬や薬用シャンプーで治療します。

皮膚糸状菌症

被毛に感染する真菌(カビのこと)により赤みや脱毛を主体とする症状を起こします。若齢や免疫低下状態の子で感染しやすく、多頭飼育では動物間で伝播し、人間にも感染します
抗真菌薬や薬用シャンプーで治療します。

ニキビダニ症(毛包虫症)

毛包(毛穴のこと)に常在するニキビダニと呼ばれる寄生虫が増殖することで皮膚炎を起こします。赤みや痒み、脱毛などを起こし、時には足先に肉芽腫を形成することもあります。若齢や免疫低下状態の子で発症しやすく、全身に拡がることもあります。
駆虫薬にて治療しますが、一部のフィラリア予防薬にはニキビダニ症に有効とされる成分が含まれています。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミの唾液によるアレルギー性皮膚疾患で、背中を中心に強い痒みを起こします。痒みによりその部分の毛が薄くなり、ノミの虫体やフンの検出により診断します。
ノミの予防薬により治療します。

疥癬

ヒゼンダニと呼ばれる外部寄生虫により昼夜問わず強い痒みを起こします。
少数のダニによりアレルギーを起こす「通常疥癬」と大量寄生で角化物や脱毛を伴う「角化型疥癬」に分けられます。
駆虫薬にて治療しますが、一部のフィラリア予防薬には疥癬にも有効とされる成分が含まれています。

犬アトピー性皮膚炎

環境虫の抗原に対するアレルギーで、約80%がハウスダストマイト(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ)が原因とされています。
口・眼・肛門の周囲、耳、腋窩、内股、足先などに強い痒みを起こし、若齢(生後6ヶ月〜3歳頃)に発症すると言われています。
根治を望める有効な治療法はなく、なるべく抗原から避けて痒みを管理していく治療が中心となります。原因となるダニの抽出物を段階的に注射して感作させて症状を抑える「減感作療法」という治療も選択されます。

食物有害反応

食べ物に対して起こる皮膚疾患のことで、過敏症である「食物アレルギー」と、アレルギー反応を介さない「食物不耐症」に分けられます。
主に食物中のタンパク質(鶏肉、牛肉、大豆、乳製品など)や炭水化物(米、小麦など)が抗原となり、年を重ねた段階でも発症する可能性があります。
治療には食物中のタンパク質を制限したフードのみを与えていく「除去食試験」を1〜2ヶ月間実施し、痒みが改善するかを見ていきます。

蚊刺咬症(モスキートバイト)

蚊に刺されることによる過敏症で、皮膚に強い痒みとボツボツとした皮膚炎を起こします。主に猫ちゃんで見られ、耳介部を中心に起こります。外にいる子は蚊に刺される機会が多く、夏場にしばしば見られます。
抗掻痒・抗炎症薬により治療します。

体表の腫瘍

皮膚の表面や皮下には腫瘍が発生することもあり、種類は様々です。
良性なものでは「乳頭腫」「皮脂腺腫」「基底細胞腫」「組織球腫」などがあり、これらは基本的には転移や周囲への浸潤がないため緊急的に切除を行う必要はありません。
しかし、中には「肥満細胞腫」「扁平上皮癌」「組織球肉腫」「軟部組織肉腫」といった悪性に分類されるものもあり、これらは転移・浸潤の性質が強いため外科的な介入が必要になることが多いです。
悪性かどうかの診断には細胞診や組織診断が必要となります。

比較的まれなもの

天疱瘡

比較的稀な皮膚疾患で、自己免疫系が自身の皮膚を攻撃することで症状を起こします。
鼻、耳介部、肉球、口腔粘膜などに好発し、猫ちゃんでは爪にも発症することがあります。特に鼻全体に及ぶ潰瘍を形成するのが特徴的で、全身に拡がることもあります。
ステロイドのような免疫抑制剤により治療していきますが、根治が難しい疾患です。

エリテマトーデス

自己免疫系が自身のあらゆる臓器を攻撃してしまう疾患で、皮膚もその一つに含まれます。
鼻を中心にびらん、潰瘍を形成するのが特徴で、他の臓器障害により食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。
免疫抑制剤により治療しますが、根治が難しく、予後が悪いこともあります。

多形紅斑

薬物、食物、感染症などが引き金となり発症する皮膚の免疫疾患で、主に腹部に円形(標的の的のような)の炎症を起こし、他にも口腔粘膜や肉球などにも見られます。
全身症状(食欲不振、発熱など)を伴うこともあり、早急な対処が必要とされる疾患です。

脂腺炎

主に秋田犬に見られる遺伝性疾患で、毛包に付属する脂腺が障害を受けることでふけや脱毛を起こします。
免疫系が関与しているとされており、治療には免疫抑制剤が使用されます。

無菌性結節性脂肪織炎

皮下の脂肪組織に生じる炎症性疾患で、外傷や感染、腫瘍、異物(過去の手術時の縫合糸が有名)、免疫疾患など様々な原因が引き金となって起こります。
最初は皮下にできるしこりから見られ、次第に大きくなりやがて破裂します。原因を除去しないと症状が長引き、異物が原因であれば外科的な摘出が必要になることもあります。

毛周期停止(脱毛症X)

毛の成長が停止することが脱毛を起こす疾患で、ポメラニアンで好発し、遺伝的要因が関与しているとされています。
頭部や四肢を除いた全身の皮膚に脱毛が生じ、通常皮膚炎は起こりません。有効な治療法は確立されておらず、一部のホルモン薬やビタミン剤が有用という報告があります。
生命に関わることはなく外観上の問題メインとなります。

パターン脱毛症

耳や頚部、お腹周りに脱毛を起こす遺伝性疾患であり、ダックスフンドで好発します。
有効な治療法は確立されていませんが、生命に関わることはなく外観上の問題メインとなります。

淡色被毛脱毛症(カラーダイリューション脱毛症)

グレー、ブルー、フォーンといった薄めの色の被毛に起こる脱毛症で、遺伝的要因が関与しているとされています。
脱毛のみ起こすことが多いですが、その部分が乾燥により二次的な皮膚炎を起こすこともあります。
有効な治療法は確立されていませんが、生命に関わることはなく外観上の問題メインとなります。

皮膚型リンパ腫

リンパ腫(血液系の腫瘍)が皮膚に生じることがあり、最初は皮膚の痒みや赤み、かさぶたなどの一般的な皮膚症状が見られますが、進行することで全身性に拡がり、口腔粘膜や鼻にまで拡がります。
皮膚生検にて診断し、抗がん剤にて治療しますが予後が悪いと言われています。

皮膚科における検査

状況や疑われる疾患に応じて、組み合わせて行っていきます。

櫛(くし)検査

目の細かいノミ取り櫛にて被毛を梳かし、採取できる寄生虫の有無を調べます。
ノミおよびそのフン、シラミ、ツメダニ類の検出に用いられます。

毛検査

ピンセットや鉗子で病変部の被毛を採取し、顕微鏡にて観察します。
毛根や毛の状態を調べたり、ニキビダニや皮膚糸状菌の検出に用いられます。

皮膚掻爬試験

メスの刃を立てて皮膚の表面を削り、毛や角質内の寄生体の有無を調べます。
毛検査にて検出できないニキビダニや、疥癬の原因となるヒゼンダニの検出に用いられます。

皮表細胞診(スタンプ検査)

スライドガラスやセロハンテープを病変部に押し付け、顕微鏡にて観察します。
皮膚表面の菌や炎症・腫瘍細胞などの検出に用いられます。

ウッド灯検査

特殊な波長の紫外線が放出されるランプにて病変部を照らし、皮膚糸状菌の検出に用いられます。

皮膚生検

病変部の皮膚を採取し、病理組織学的検査を行います。
主にトレパンと呼ばれる円形の刃がついた器具が用いられます。
角化症、免疫介在性疾患、深在性ニキビダニ症、腫瘍性疾患などの診断に有用です。

細菌培養検査、薬剤感受性試験

病変部の皮膚や被毛中の細菌感染の有無を調べます。また、各抗菌薬に対しての効果を調べる薬剤感受性試験を併用することで耐性菌の場合は適切な抗菌薬を選択して使用することができます。

真菌培養検査

真菌(カビ)の感染が疑われる場合に、確定診断のため被毛などを検体として培養検査を行います。真菌の種類によっては上記のウッド灯検査では発色しないため、その場合には特に有用な検査です。

アレルギー検査

アレルギー性皮膚炎の検査に用いられます。アレルギーには「IgE(免疫グロブリン)」と「リンパ球」が関与する経路があり、各抗原(アレルゲン)に対する血液中のIgE(免疫グロブリン)やリンパ球の活性を調べます。
アレルギーの中の犬アトピー性皮膚炎はIgE、食物有害反応はIgEとリンパ球両方が関与しています。
100%の感度・特異度ではないため確定診断には至りませんが、注意すべきアレルゲンの種類が分かるため除去食試験の際のフードの選択時などに有用です。

中林院長から飼い主様へ

動物にとって皮膚病は日常生活に最も身近な疾患の一つで、「痒みで夜も眠れない」「ずっと舐めて赤くなっている」など皮膚のトラブルは生活の質に大きな影響を及ぼします。
皮膚病の治療は一様でなく、薬や食事、シャンプーなど幅広くあり飼い主様のご協力も必要となる場面も出てきます。中には生涯付き合っていく必要のある疾患もあり、無理のない継続できる治療を見つけていくことが重要になってきます。
専門診療施設にて得た知見を踏まえながら、最良なプランをご提示いたします。
一緒にその子にあった治療法を見つけていきましょう!

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