・耳を掻いたり、頭を振っている
・耳が臭う、汚れている
・耳が赤い、腫れている
・頭を傾けている
院長の中林は日本動物病院協会(JAHA)の総合臨床医資格を取得しており、エビデンスに基づいた診療を行います。
診療科を限定せずに診療を行っていますが、特に皮膚科・耳科には深い知識があります。
獣医皮膚科学会にも所属しており、かかりつけ病院から紹介されてきた症例を扱う二次診療施設にて皮膚科研修医を2年間務めた経験もあり、今でも研鑽を重ねています。
耳介(耳たぶ)にて音を集め、耳の穴から外耳道へ繋がります。垂直耳道・水平耳道と経て奥の鼓膜までが外耳です。
鼓膜により外耳と区切られており、鼓膜より内部の空間を中耳と呼びます。外耳から伝えられた音波は鼓膜に当たると振動し、その振動が耳小骨へ伝導して内耳へ伝えます。
それ以外の空間は鼓室といい、耳管により喉奥へと繋がります。
半規管・蝸牛管(前庭)と呼ばれる平衡感覚を司る器官がある部分です。
内部に聴神経があり、外耳・中耳からきた音波が最終的に聴神経へ伝えられます。
耳の中の炎症により強い痒みや臭いが生じる、耳で最も見られる疾患です。
耳の中の問題(毛、耳垢の塊、湿気、異物、腫瘍など)により菌(細菌やマラセチア菌)が増殖することでさらに悪化します。
耳の不適切な手入れ(綿棒や過剰な洗浄)が原因になることもあります。またアレルギー・ホルモン性疾患が関与していることもあります。
さらに進行すると外耳から中耳・内耳まで炎症が拡がり、斜頸などの神経症状を起こすこともあります。
通常は点耳薬にて治療しますが、ご自宅で点耳が難しい場合は持続性の薬を病院でつけることも可能です。
ミミヒゼンダニが耳の中に寄生し、強い痒みと大量の黒色の耳垢が見られるようになります。
耳鏡によるダニの肉眼での確認や、耳垢の検査によるダニの検出により診断します。
免疫が不十分・低下する幼少期や高齢期の動物においてしばしば見られます。
耳介部を走行する血管が何らかの原因により障害され、その結果血行不良で脱毛や皮膚障害が生じます。
冬の時期に凝集する一種の蛋白質が血管に詰まり発症する「クリオグロブリン血症」や遺伝的に発症する「家族性皮膚筋炎」などがあります。
外耳炎などによる耳の痒みにより強い力で耳を掻いたり頭を振ったりすることで、耳介の軟骨が物理的に損傷し、付近の血管からの出血で分離した軟骨間に血液が溜まることで耳が膨れ上がります。
注射ポンプで溜まった液体を排出して治療しますが、繰り返す場合は手術をすることがあります。
耳管や中耳に発生する非腫瘍性の腫瘤で、鼻咽頭に向かって拡大し、鼻詰まり・異常呼吸音・嚥下障害・いびきといった症状を起こすようになります。
また、外耳道の方へ拡大すると、耳炎により再発性の耳垂れを起こします。
先天性異常と考えられており、若齢の子での発生が多いです。
CT・MRI検査、内視鏡検査などによるポリープの検出により診断し、切除により治癒します。
外耳道の奥の中耳に炎症が起こり、口を開けるのを嫌がる・耳周りの痛み・耳垂れ・瞬膜の突出などの症状を呈します。
細菌感染によるものが原因として多く、外耳炎から続発するもの以外にも耳管(喉から耳へ繋がる管)経由で感染を起こして、発症することもあります。
上記の「猫の鼻咽頭ポリープ」や中耳内の組織が真珠のように組織が過形成を起こす「真珠腫」が原因で発症するケースもあります。
中耳のさらに奥の部分である内耳は三半規管・前庭と呼ばれる平衡感覚や聴覚を司る器官を含んでおり、そこに炎症が生じると首を一方に傾けるような神経症状や聴覚障害を発症します。
重度の外耳炎が中耳、内耳へと波及して発症するケースが多く、一度障害を受けた感覚器官は基本的には再生しません。
耳道内に発生する腫瘍があり、大きいものは物理的に耳道を塞ぐことで外耳炎の発生因子になります。皮脂腺や耳垢腺の腫瘍が知られています。
それとは別に耳介部には良性なものでは乳頭腫、基底細胞腫、組織球腫などが、悪性なものでは肥満細胞腫、扁平上皮癌などが発生します。
状況や疑われる疾患に応じて、組み合わせて行っていきます。
耳垢の中の病原体を顕微鏡にて調べます。耳の炎症や痒みは細菌、マラセチア(酵母様真菌)、耳ダニなどの感染により生じることが多く、治療法の決定のために重要な検査です。
耳垢や耳漏液の細菌感染の有無を調べます。また、各抗菌薬に対しての効果を調べる薬剤感受性試験を併用することで耐性菌の場合は適切な抗菌薬を選択して使用することができます。
内視鏡を用いて耳の奥の検査を行います。通常の耳鏡では見ることのできない鼓膜や中耳領域の観察が可能で、さらに内視鏡を通じての洗浄や検体の採取も可能です。
通常は全身麻酔が必要です。実施する場合は検査が可能な施設へご紹介いたします。
耳の内部の構造を断層面にて評価可能になります。特に中耳炎における鼓室胞内の液体貯留の有無などの検出に有効です。
通常は全身麻酔が必要です。実施する場合は検査が可能な施設へご紹介いたします。
耳のトラブルは日常的に遭遇し、飼い主様も気づかれる機会が多いと思います。耳の慢性的な痒みはストレスを与えるだけでなく、進行すると化膿してさらに痛みや臭いを増して生活の質が著しく低下します。
耳だけでなくその背景にある因子を含め総合的に考えることが耳の治療において大切です。
日常的な耳の手入れも含め、何かわからないことやトラブルがありましたら早めにご相談くださいね!